第79回ブログ|生成AI時代のシステム開発――「人数」ではなく「個」と「成果」に価値を置く

生成AI時代のシステム開発では人数ではなく個と成果に価値を置くことを表現したビジュアル

弊社の第1回ブログでは、「会社ではなく、個を選ぶ時代へ」という考え方を書きました。

生成AIの普及によって、この考え方は以前にも増して現実的なものになってきたと感じています。

そして今回は、その考え方をもう一歩進めて、 開発体制、安心のつくり方、そしてシステム開発の見積そのものも変わっていくのではないか という話をしたいと思います。

01人が多いことには、当然コストがかかる

一般的なシステム開発の打合せでは、営業担当、営業課長、プロジェクトマネージャー、 システムエンジニア、プログラマー、システム部門の責任者など、 多くの人が参加することがあります。

これは、決して他社だけの話ではありません。

以前のビットオンも、同じような組織でシステム開発を行っていました。

営業がお客様の要望を聞き、SEが仕様を整理し、PGが実装する。 必要に応じて営業責任者やシステム部門の責任者が入り、 プロジェクト全体を管理する。

それぞれに役割があり、当時はそれが一般的であり、合理的な開発体制でもありました。 実際、多人数でなければ成立しない大規模なプロジェクトでは、 現在でもこうした体制が必要です。

しかし、自分たち自身がその組織で開発をしてきたからこそ、よく分かることがあります。

人が増えれば、開発力だけでなく、管理や伝達のための仕事も増える。
そして、関わる人すべてが最終的には開発コストです。

たとえば、お客様との打合せに6人が1時間参加すれば、それだけで6人分の時間が使われます。

そして実際には、打合せだけでは終わりません。

営業担当がお客様から聞いた内容を社内へ持ち帰り、SEへ説明する。 SEが仕様を整理し、プログラマーへ伝える。

プログラマーから確認事項が出れば、SEや営業担当を経由して再びお客様へ確認する。 必要に応じて、課長や責任者への説明や承認も発生します。

以前のビットオンでも、こうした仕事を当然のものとして行っていました。

それは、誰かが無駄な仕事をしていたという意味ではありません。 組織で開発するためには必要な仕事だったのです。

しかし、

こうした仕事のすべてにも、人の時間が使われています。 そして、その時間は最終的には開発費の中に含まれています。

生成AIが登場した現在、弊社が改めて考えているのは、

「これまで必要だった組織の仕事を、今も同じ形で続ける必要があるのか」

ということです。

弊社は、以前の組織型の開発を否定しているわけではありません。

自分たち自身が経験してきたその開発方法を、生成AI時代に合わせて作り直そうとしています。

もちろん、従来型の開発体制そのものに価値がないわけではありません。 大規模な基幹システム、複数部署にまたがる長期プロジェクト、24時間365日の保守運用が前提となるシステムでは、 営業、PM、SE、プログラマー、インフラ担当、品質管理担当などが分担して進める体制の方が適している場合があります。

そのような案件では、弊社のような少人数体制の会社だけで受けることが、 むしろお客様にとって十分な安心につながらない可能性もあります。 無理に「少人数の方がよい」と言い切るのではなく、 開発規模、求められる継続性、障害時の即応性、関係者の多さに応じて、 ふさわしい体制を選ぶことが大切だと考えています。

この記事でお伝えしたいのは、従来型の組織開発を否定することではありません。 生成AIによって、一人の技術者が担える範囲が広がった今、 すべての案件で同じように大きな体制を前提にする必要があるのかを、 改めて考えてみてもよいのではないか、ということです。

02生成AIによって「一人ができる仕事」の範囲が変わった

生成AIの効果というと、「プログラムを速く書けるようになった」という部分だけが注目されがちです。

しかし、実際に大きく変わったのはコーディングだけではありません。

これまで多くの人手と時間を必要としていた作業を、生成AIが強力に支援できるようになりました。

その結果、一人の技術者が担当できる仕事の範囲そのものが大きく広がっています。

生成AIによって変わったのは、コードを書く速度だけではありません。
「個」が担当できる仕事の範囲と、その仕事の質そのものが変わりました。

03聞いた人が、考え、設計し、作る

弊社が少人数での開発に価値を感じている理由は、単に人件費を減らせるからではありません。

お客様から話を聞いた人間が、その内容を理解し、考え、設計し、実装し、確認する。

その一貫性そのものに、大きな価値があると考えています。

システム開発では、

といった伝達上の問題が起こることがあります。

同じ人間が継続して担当していれば、 「何を作るか」だけではなく、「なぜそうするのか」という背景まで理解した状態で開発を続けられます。

「聞いた人が、考え、設計し、作る。」
これは、少人数だからこそ実現しやすい大きな価値です。

04「一人だから不安」は、当然の疑問

一方で、「担当者が一人で本当に大丈夫なのか」という不安があることも理解しています。

従来のシステム開発では、一つのプロジェクトに最低でも二人を配置するという考え方がよくありました。

主担当者が病気になったり、退職したりした場合に備えて、 もう一人にも内容を理解させておく、いわゆるバックアップ要員です。

担当者の知識が、その人の頭の中にしか存在しなかった時代には、非常に合理的な考え方でした。

しかし現在は、バックアップの方法そのものを変えることができます。

05「人を冗長化する」のではなく、「情報を冗長化する」

弊社では、万一に備えるためだけに常時二人を配置し、 その費用をお客様に負担していただくことが、必ずしも最適だとは考えていません。

問題なのは「一人しか担当していないこと」ではありません。
「一人しか内容を理解できない状態」であることです。

そこで重要になるのが、情報をきちんと残すことです。

さらに現在は、こうしたコードや資料を生成AIに読み込ませることで、 別の技術者がシステム全体を理解するための負担も大幅に小さくできます。

つまり、安心のために人を常時二重化するだけではなく、 知識・設計・判断・履歴を引き継げる状態にしておくという方法が取れるようになりました。

もちろん、24時間365日の即時対応が必要なシステムや、 大量の作業を同時並行で進めなければならない大規模案件では、複数人体制が必要です。

しかし、一般的な業務システムまで一律に 「安心のために常時二人体制」という考え方は、見直せる時代になってきたと考えています。

06「人が多いから安心」ではなく、「誰がやるか分かるから安心」

大きな会社には、大きな会社の安心があります。 多くの人員を抱え、必要に応じて代替要員を配置できることは明確な強みです。

一方で、お客様から見たときに、

が見えにくくなることもあります。

弊社が提供したい安心は、その逆です。

「人がたくさんいるから安心」ではなく、
「誰に任せているのかが分かっているから安心」。

誰が話を聞き、誰が考え、誰が設計し、誰が作り、誰が責任を持つのか。

その担当者との信頼関係そのものを、システムと同じくらい大切な価値だと考えています。

07では、AIを使えば開発費は安くなるのか

ここで、当然もう一つの疑問が出てきます。

「生成AIを使って、以前10人でやっていた仕事を一人でできるのであれば、 開発費も10分の1になるのではないか」

発注する側から見れば、非常に自然な考え方です。

弊社も、生成AIによって生産性が大きく向上したにもかかわらず、 従来とまったく同じ価格を請求することが適切だとは考えていません。

生成AIによって効率化できたのであれば、そのメリットはお客様にも還元されるべきです。

しかし一方で、 作業時間が10分の1になったから、価格も10分の1 という考え方にも問題があります。

それでは、技術力を高め、生成AIを活用し、生産性を向上させた企業ほど、 売上も利益も減ってしまうからです。

08生産性向上のメリットを、お客様と開発会社の双方へ

弊社が目指しているのは、 生成AIによって生まれた生産性向上のメリットを、どちらか一方だけが得る仕組みではありません。

たとえば、従来の開発方法では3,000万円、6か月必要だったシステムがあるとします。

生成AIや自動化を活用することで、より少ない人数、より短い期間で開発できるようになれば、 お客様には、

というメリットがあります。

一方、弊社は、

によって、適正な利益を得ます。

お客様には「従来より安く、早く」というメリットを。
開発側には「高い生産性を実現したこと」に対する適正な利益を。

弊社は、その双方が成立する価格が健全だと考えています。

09お客様が購入するのは「人数」ではない

システム開発では長い間、「人月」という単位が広く使われてきました。

人月とは、一人が一か月働く作業量を表す単位です。 たとえば、10人で6か月なら60人月という考え方です。

しかし、生成AIによって一人ひとりの生産性が大きく変わる時代に、 「何人が何か月働いたか」だけを価格の基準にすることには限界があります。

お客様が本当に必要としているのは、 「10人が半年働いたという事実」ではありません。

つまり、お客様が必要としているものは、投入した人数ではなく成果です。

10だからといって「システム開発一式」だけにはしない

一方で、見積書に「システム開発一式 1,000万円」とだけ書かれていても、 お客様は納得できないと思います。

弊社では、可能な限り見積の根拠を明確にします。

たとえば、

などに分けてご説明します。

必要に応じて、画面数、API数、帳票数、外部連携数、機能の難易度なども、 見積金額を算定した根拠としてお示しします。

つまり、弊社は人月だけで価格を決めるのではありませんが、 なぜその金額になるのかを説明しないという意味でもありません。

11機能を一つ削ったから、その金額がそのまま減るとは限らない

見積後に、

といったご相談をいただくことがあります。

もちろん、不要な機能を削除することで開発費を下げることは可能です。

ただし、見積書に記載した一つの機能の金額が、そのまま全額減額されるとは限りません。

システム開発には、

など、複数の機能に共通する作業があるためです。

一部の機能を削除しても、こうした共通部分の作業量は大きく変わらない場合があります。

そのため弊社では、機能を追加・削除する場合、 その項目だけを単純に足し引きするのではなく、 システム全体への影響を確認したうえで再度算定します。

12AI時代だからこそ、「誰と付き合うか」を選んでほしい

ここまで、生成AIによって開発の生産性が上がり、 一人の技術者が担える範囲が広がっているという話をしてきました。

しかし、弊社が本当に重要だと考えているのは、 単に「AIを使える人を選んでください」ということではありません。

むしろ、生成AIが当たり前になるほど、

お客様のことを親身に考えてくれる「個」を選ぶこと。

が、これまで以上に重要になると考えています。

システム開発では、仕様書に書かれていることだけを作ればよいわけではありません。

そうしたことまで一緒に考えてくれる相手であるかどうかは、とても重要です。

生成AIは、コードを書いたり、資料を作ったり、調査をしたりすることは得意です。

しかし、

こうした部分は、これからも人間同士の関係の中で生まれるものだと考えています。

だからこそ、システムを発注するときには、 会社の規模や社員数だけでなく、

という視点でも、開発パートナーを選んでほしいと思います。

これは、ビットオンを選んでほしいという話ではありません。

「会社に発注する」というより、「人と付き合う」。

どの会社に依頼する場合でも、その意識を持つことが、 これからますます重要になると考えています。

生成AIによって技術の差が縮まる部分があるからこそ、 最後に差になるのは、

という、人と人との関係です。

AI時代だからこそ、人間を見る。
それが、これからシステム開発を発注する側にとっても、 大切な考え方になると弊社は考えています。

13「安い会社」ではなく、「生産性の高い個」でありたい

弊社が目指しているのは、単に価格の安いシステム開発会社ではありません。

生成AIを活用し、一人の技術者が広い範囲を理解し、判断し、実装し、責任を持つ。

その結果として、不要な管理コストや伝達コストを減らし、 お客様には従来より高い価格競争力とスピードを提供する。

そして弊社自身も、高い生産性に見合った適正な利益を得る。

その関係が、これからのシステム開発では大切になると考えています。

生成AIによって、コードを書くことそのものは今後さらに効率化していくでしょう。

だからこそ、これから重要になるのは、

誰が作るのか。
誰が判断するのか。
誰が責任を持つのか。
そして、その人を信頼できるのか。

弊社は、成果物だけを提供する会社ではなく、 長く信頼して任せていただける「個」であることを大切にしています。

「人が多いこと」を安心の根拠にするのではなく、 「誰に任せているのかが分かること」を安心につなげる。

そして、生成AIによって生まれた高い生産性を、 お客様のメリットと弊社の成長の双方につなげていく。

それが、ビットオンが考える生成AI時代のシステム開発です。