第46回:MySQLからTiDBへの移行に関する技術調査

MySQLとTiDB移行イメージ

1. MySQLとTiDBの技術的な違い

MySQLとTiDBはいずれもリレーショナルデータベースですが、設計思想・アーキテクチャ・機能面に大きな違いがあります。
TiDBは「NewSQL」に分類される分散型RDBMSで、MySQL互換を保ちつつも、高いスケーラビリティ・高可用性・HTAP(Hybrid Transactional/Analytical Processing)対応を実現しています。

項目 MySQL TiDB
アーキテクチャ 単一サーバ中心。SQL/ストレージ一体。主に垂直スケール。 SQLノード・分散KVS・メタ管理が分離。完全分散・水平スケール。
スケーラビリティ 基本はサーバ増強(垂直)。シャーディングには手動運用が必要。 ノード追加で自動シャーディング・自動リバランス。数百ノードまで拡張可。
トランザクション 単一ノード上でACID保証。分散トランザクションは非ネイティブ。 分散ACIDをネイティブサポート。クラスタ全体で一貫性保証。
SQL互換性 MySQL独自拡張含むフル機能。SP/トリガ/外部キー等も対応。 MySQL 8.0互換。多くのツールが利用可。SPやトリガは未対応部分あり。
HTAP/分析 OLTP特化。大規模分析は外部DWH/OLAPで処理が一般的。 HTAP対応。TiKV(行指向)+TiFlash(列指向)で即時分析が可能。
高可用性 レプリカやクラスタで実現。手動フェイルオーバー・運用負荷あり。 Raft自動レプリケーション+自動フェイルオーバー。自己回復型。
クラウドネイティブ性 単一サーバ前提。近年はRDS等のマネージド型も。 Kubernetes公式サポート。クラウドネイティブ設計・Serverless型有。

補足:TiDBは自動シャーディング・リアルタイム分析・高可用性・クラウド運用等でMySQLの弱点を補う一方、ストアドプロシージャなど一部未対応機能や分散処理によるレイテンシ増などのトレードオフも存在します。
ユースケース・既存資産との相性を見極めて選択する必要があります。

2. TiDBが開発された背景・目的

TiDBは中国PingCAP社により開発された分散型RDBMSです。開発思想はGoogle SpannerやF1論文の影響を受け、「SQL互換・自動シャーディング・高可用性・リアルタイム分析・クラウドネイティブ運用」の実現を掲げています。
手動シャーディング運用やMySQLのスケール・可用性の壁、分析DBとの煩雑なデータ連携といった、現場の課題を根本から解決する“Webスケール”な新世代RDBMSがNewSQL=TiDB誕生の背景です。

3. MySQLからTiDBに切り替える必要性と判断基準

どんなときにTiDBを選ぶべきか? 技術的・運用上の判断ポイントを整理します。

MySQL運用が「つらくなった時」「分割や停止・分析のコストが増大した時」が移行の好機。逆に負荷が小さい間は現状維持も選択肢。

4. TiDBの将来性

5. 実際の導入事例・成功例・課題例

MySQLからTiDBへの切り替えは、スケーラビリティや運用効率を劇的に高める手段。事前検証や最適化のためのチーム体制も整えて導入を成功に導きたい。
何かノウハウがたまったら、TiDBについてまた書きます。
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