2025年7月、フロントエンド業界に衝撃が走りました。
Next.js(React向け)とNuxt.js(Vue向け)――。
弊社ビットオンでもプロジェクト規模や要件に応じて両方とも多数導入している「2大フレームワーク」が、Vercel社の傘下で同じ屋根の下となったのです。
本記事では、このニュースの詳細、経緯、そして開発現場・業界に与える本当のインパクトを、現場目線で徹底解説します。
2025年7月8日(米国時間)、Next.jsの開発元として有名なVercel社が、Vueエコシステムを代表するフレームワーク「Nuxt.js」の開発会社NuxtLabsの合流を発表しました。
NuxtLabsの創業者Sébastien Chopin氏は「OSSの持続可能性(開発資金と運営)」の壁を何度も語ってきました。
コミュニティベースのプロジェクトをMITライセンスで運営し続けるのは困難が増しており、Vercelの支援で開発に集中できる環境を得られることが最大の動機となったようです。
VercelはNext.js、SvelteKit、Turborepoなど多くのOSSを支援してきた実績があり、NuxtLabsも「価値観を共有できる最良のパートナー」と判断。
合流後もNuxt.js/Nitroのオープン性、MITライセンス、コミュニティ中心主義は維持されます。
具体的交渉の中身は公開されていませんが、Vercel CEO Guillermo Rauch氏からの働きかけが発端。
投資家もEXITに同意し、OSSの将来像として「大手の支援下で自律的に開発を続ける」モデルを選択した形です。
Next.jsとNuxt.jsは、よく「React向けとVue向けの兄弟フレームワーク」と説明されます。
どちらもSSR(サーバーサイドレンダリング)やSSG、ルーティングなどを統合した“メタフレームワーク”ですが、根本の開発体験や対象ユーザー層は異なります。
両者は長年にわたり互いに刺激を与えつつ棲み分けてきた存在ですが、“兄弟”が本当に一つ屋根の下に集うのは今回が初。これは歴史的な転換点と言えます。
Vercelは「Reactだけの会社」から「全フロントエンド開発者のプラットフォーム」へ大きく舵を切っています。
今回の合流でも、Next.jsとNuxt.jsは「統合せず独立を維持」することが公式に表明されています。
VercelはAIにも注力しており、今後はNuxt.jsにもAI SDKやv0などAI支援の開発体験が取り込まれていく見込み。
Next.jsで先行しているAI連携ノウハウが、Nuxt.jsにも波及し、両者の成長が相互に加速していきます。
ReactとVue、2つの世界が同じ“本社”に。
これは単なる合併劇ではなく、「OSSフレームワークの開発と運営が企業支援と両立できる時代」の象徴です。
今後はVercelのクラウド・AI基盤を活かしつつ、Next.jsとNuxt.jsが相互に高め合い、「フレームワーク戦争」の終焉と新たな協調・発展の時代が始まることでしょう。